NPOどんどこプロジェクト

NPOどんどこプロジェクト 2014

菅生児童館

福岡県北九州市

こども印刷部

タイトル こども印刷部
協力NPO
  • KID's work
  • ガリ版研究会
その他協力者・関係者
  • ふくおかNPOセンター
  • 青い月
  • 印刷会社2社
  • 社会福祉法人 北九州市福祉事業団
開催日時 7月30日・8月6日・8月20日・8月27日・2月
開催場所 北九州市福祉事業団 会議室・ホール・各児童館など
目的
  • 子どもたちが、地域にあるお店等の大人との会話を通して、自身の苦手な部分である言葉で表現して自分の気持ちを伝える事を学ぶため、日常的に取り組むことのできる表現活動のプログラム化を行い、子どもたちのコミュニケーション能力を高める場づくりを目指す。
  • パソコンなどの身近な印刷物のほかに、昔の印刷について知り、経験し、昔と今の良さ・不便さを学ぶ。
  • 児童館の子どもや職員以外の大人(NPO、企業等)と新たな関わりをもつことで、それらの人たちに児童館の存在への理解を深めていただくとともに、今後ますます不可欠となる地域ぐるみでの次世代育成のためのネットワークづくりのきっかけとする。
概要
  1. 参加館がそれぞれの館で、子どもの実行委員会を設立。
  2. 代表児童が集まり、ポスター・チラシ作りについて学ぶ。 ポスター・チラシづくりワークショップ(内容・レイアウト・デザイン) 印刷方法について学ぶ・知る(ガリ版印刷・印刷会社訪問など)
  3. 児童館の館内行事のポスターやチラシを作る。
  4. 実際の営業職の方からお話しを聞き、ポスター・チラシの注文を受けるためにはどんなことが必要か(言葉づかいや姿勢など)聞き、何を準備すれば良いか考える。
  5. 注文を受けるために名刺やポスター・チラシの準備をし、地域のお店や会社等を訪問する。
  6. 各館で注文を受けたポスター・チラシを作成し、納品する。
  7. 実際に地域に配布等をして使用してもらう。

レポート

当日の様子・子どもたちの声・よかったこと

当日の様子 【6月】
各館で「こども印刷部」を結成しました。7つの部ができました。
【7月】ポスター・チラシ作り
講師にデザイナーの先生(青い月)をお迎えして、ポスター制作の基本を学びました。まずは色や文字の話やレイアウトを実際の映像をみて教えていただきました。ポスターにはキャッチコピーやシンボルマークなどを取り入れると、より伝える力が大きくなることを知りました。午後からは「みんなのまちのすきなところ・なぜ好きなのか・秘密の場所・好きなお店など」を各グループで話しあい、その中から一人一つ選んで実際にポスター作成をして発表しました。できあがった作品を先生に講評していただき、満足そうな表情がうかがえました。また、プロのデザイナーの先生とお話ししたりアドバイスをしていただける貴重な体験ができました。
【8月】ガリ版体験
ガリ版研究会の先生から、ガリ版の歴史をクイズを交えながら楽しく教えていただいたり、実際にガリ版を使って名刺作り・封筒印刷を体験しました。初めてみる鉄筆などの道具に驚き、1回目は強さがわからなくて紙を破ってしまったり、次は弱すぎて色がうすくて映らなかったりと、かなり苦労していましたが、最後は各自名刺を完成して大喜びでした。
【8月】印刷会社見学
大小の規模(2か所)を見学し、印刷技術の基本を学びました。朝日プリンテック北九州工場には6館が見学に行き、新聞の印刷工程を見学しました。はじめにDVDで工場や印刷のしくみについて勉強し、次に大型の輪転機や自動で巻き取り紙を運ぶ様子など印刷会社の実際の様子を見学したり、新旧3種類の印版をさわったり、最後はベルトコンベアーでトラックに運ばれていく様子まで工程を見学しました。職員の方の働く様子や仮眠室・お風呂などに興味をしめしている児童もいました。見学記念の記念号新聞やカラー印刷の仕組み飛行機プレートなどたくさんの記念品をいただき、説明も丁寧でわかりやすくとても勉強になりました。(翌日の新聞に掲載されました)
日高印刷の見学には小嶺児童館が行きました。ネームプレート用写真の撮影・製版室や印刷機の説明を受け、機械のスイッチを実際にいれさせていただきました。CMYK-RGB(印刷に使うインク)・光の3原色の説明や印刷後の機械の上に載ってインクを見せていただいたり、チラシをルーペで見たり、他にも色々な作業の様子を見学させていただきました。実際に刷っていただいた名刺やたくさんの記念品をいただき印刷の様子がよくわかりました。
【10月】印刷会社の仕事とは(営業活動の流れ・コツを学ぶ)
日高印刷さんから、営業の流れをわかりやすくご指導いただき、営業活動で大切なこと(姿勢・話し方・内容・聞くべきことをリスト化する・責任を持つ・約束を守るなど)などを教わりました。また、この時の様子をYoutubeで各館が共有できたことが今後の活動に生かされていきました。
【10月~】実際のポスターづくり(営業・作成)
各館で、地域のお店や市民センターなどを訪問し、実際にポスターの営業・作成活動をしました。
(各こども印刷部の活動)
・中原・菅生:地域の酒屋さんのポスター・チラシつくり・値札つくりをしました。
・中島:児童館まつりのポスターをスキャナーやパソコンを使ってつくりました。
・南曽根:市民センターのしめ飾りつくりのポスターをキャッチコピーをいれてつくりました。 
・南小倉:市民センターのポスター・児童館の行事申込書を20枚つくりました。
・小嶺:縁日・バスハイキング・クリスマス会(ガリ版風)のポスターをつくりました。
・山王:地域の商店街のイベント「春のスイーツフェスタ」のポスターをつくりました。NPOわくわーくさんと何度もお話しをしながら素敵なポスターができあがりました。(新聞掲載されました)
【2月】「チラシまつり」
午前中は各館が今までの活動報告会をしました。
・「ポスター作りについて」の発表はワークショップ形式で大切なこと(色・タイトル・レイアウト・キャッチコピー)を盛り込みました。
・「ガリ版体験」は印刷の歴史について発表し、プリントごっこの紹介もしました。
・「印刷会社見学」は、日高印刷・朝日プリンテックの工場見学の様子をPPTを使って発表しました。
・「印刷会社の仕事とは」は、営業や交渉について、様子を寸劇(再現)で発表しました。
・「各館の活動については」は各館の活動の様子や苦労したことなどを実際の印刷物などを紹介しながら発表しました。
ちらし寿司のランチミーティングをはさんで午後からは「チラシ作り選手権」と題して実際にポスター・チラシを作成しました。
①児童厚生員が依頼先と印刷会社を演じて、チラシの条件(児童館の紹介・児童館キャラクターのくーちゃんを使って・4月のこどもまつりで配布予定・納期など)をしめす寸劇を観ます。
②突然の注文を受けた各児童館こども印刷部の児童は、ていねいに、制作時間50分を守り、どのポスターもすばらしいできあがりでした。
③各作品を掲示し、いいと思った作品にいいねシールを一人3枚はりました。
④審査員の方々に審査をしていただきました。児童はお互いにガリ版印刷で作成した名刺を持って交歓会をしました。
⑤グランプリと準グランプリが選ばれ、表彰式で表彰状が授与されました。
⑥審査委のみなさんから講評をいただき、「みなさん、約束の時間やきまりをよくまもり、すばらしい作品ができました」とのお褒めの言葉をいただきました。「受賞作品には、屋根のない公園というキャッチコピーがあったり、くーちゃんのイラストの使い方上手で、よりすばらしかった」との言葉で、受賞していない館も今後の意欲につながっていくと思いました。
⑦参加賞の手作りくーちゃんストラップをもらい集合写真をとりました。
子どもたちの声 ・キャッチコピーって楽しい。
・名刺を使うのは大人みたいでうれしかった。
・去年のおばけやしきで会った友達とあえてよかった。
・今6年生で来年中学生になっても参加したい。
・よかったねシールがたくさんついた時、とてもうれしかった。
・今年のどんどこが終わってもこども印刷部は続けてやっていきたい。
よかったこと ・ポスター・チラシつくりでは、プロの方から基本をおしえていただき、ほめていただくことで子どもたち一人一人が自信をもつことができました。また、他の館の発表をみるのがとても楽しく、刺激をうけました。
・ガリ版印刷体験では自分の名刺を作成したり、その名刺を使って地域の活動に使ったりできました。チラシまつりのときも名刺を交換してコミュニケーションの手段として役立っていました。
・印刷会社見学や営業についてではKID‘sworkさんのご協力で動画を使ってそれを共有することで、実際に参加していないことでも知る事ができて良かったと思います。
・ふくおかNPOセンターさんがブログを開設して管理していただくことで、他の館の活動状況などがよく分かり、刺激を受け、各館の活動に活力を与えてくださったと思います。
・やる気のない子がチラシまつりに参加することで、他館の活動に刺激を受け、意欲を持つという相乗効果がありました。
・北九州市福祉事業団の協力コミットしてくれたことでチラシまつりの受賞作品が実際4月に行われる子どもまつりで使用していただけるということは子どもたちにとって素晴らしい経験になると思います。
・児童館個々の活動があったり、また、協働の活動があり、相互で刺激しあいながらより良い物を作り上げ、活動を継続することで子どもたちがスキルを得て行けたように思います。 6月はじめにはなかった連帯感や一人一人のスキルアップを2月のチラシまつりで見ることが出来て、子どもたちの可能性を実感しました。

児童館・協力NPO・その他協力者の感想

児童館担当者 ・自分だけでは決して思いつかないような新しい発想やアイデアなどざっくざくでてきて、私自身はとてもわくわくドキドキしたプロジェクトでした。7館の児童館が集まる素晴らしさを感じながらの活動でしたが、日程調整がなかなかうまくいかず、苦労しました。
・ほぼ1年間を通じての活動で、個別活動のとき子どもの意識をどうのように持続させていくのかが大きなカギとなりましたが、協働NPOのご協力などによりブログなどで意識を高め、2月のチラシまつりまで継続できました。
・子どもたちの成長には、本当に驚きました。7月のポスター作りの時は人前が恥ずかしくて発表を拒んでいた子どもたちが、2月のチラシまつりのときは意欲的にメモを取り、黙々とチラシをみごとに完成していく姿をみて、その成長ぶりには感激しました。
・協働NPOの方やプロの仕事をしている方と接していくことで、子どもたちの変化を目の当たりにすることで、私自身も背筋がのび、仕事に対しての意識向上をはかり、今後どのように子どもたちを導いていくのか考えるきっかけになりました。
協力NPO 【NPO法人KIZ‘swork】
ここ数年、NPOどんどこプロジェクトに参加させていただいています。今年のプロジェクト「こども印刷部」は子どもたちが専門家からスキルを学び、地域の課題に「印刷」を手段として取り組むというものでした。 
今回の事業が上手くいくための大切なポイントは「リアリティ」だと思いました。子どもたちが作ったものが地域で実際に使われることとということがとても大切だということです。 
実際に地域で使ってもらうためには、子どもたちに真剣に学んでもらうこと。そのために専門家に来てもらうこと。子どもたちは、プロジェクトを通じて、地域とのつながり、自分たちの力を地域で活かすということができたように感じています。
活動報告会として実施されたチラシづくりコンテストにおいても、リアリティを求める姿勢は貫かれ、審査員に関わった専門家の方々に来ていただくことや、グランプリ作品は実際の事業に使用されることにもつながりました。
こうした状況を子どもたちに提供することができたのも児童館の職員の方々の子どもを思う心、その働きによるものだと感じています。
昨年までのプロジェクトは、全館で1つの事業という感じで取り組んでいたのですが、今年は、児童館同士が緩やかにつながりながら、各館の自主性を重んじつつ、1つの事業に取り組むという形に変わりました。ですから私自身の関わり方も昨年までの現場の真ん中で児童館の方々といっしょにというイメージから、今年は同じ現場は現場なのですが、これまでの立場とは異なり、プロジェクトが上手く進むための現場調整というような感じでした。
1つの現場ではないため、各館の状況を打ち合わせで聞き取りし、課題をまとめ次に進めていく作業は、私自身にとっていい経験となりました。私自身も、どんどこを通じて日ごろとは異なる立場、役割を経験させていただき大きな学びになっています。ありがとうございました。子ども印刷部に関わることができ、とても感謝しています。
協力NPO 【NPO法人わくわーく】
山王児童館は近隣という事もあり、また当法人が北九州市福祉事業団との協働事業「虹のふもと」を実施している繋がりで、日頃から何かとご協力をいただいております。
前年度のどんどこプロジェクトのお化け屋敷の取組みや日頃の活動から、大変関心があったところ、こども印刷部の営業さんから「何かお仕事はありませんか」とのお話をいただきました。
3月21日(祝)に当法人としても初めての主催であるイベントを企てていた(全く個人的に)という経緯があり、即発注をしてしまったのです。
それからが大変です。出来上がるちらしが実際に使われるように、絶対にイベントを実現しなければと法人内での合意を求め、商店街の協力を求め、協力団体を募り、ちらしに描くものを現実にするための作戦を練っていきました。
さて印刷部のこどもたち、始めは緊張して先生に促されながら営業スマイルをしていましたが、第1回目のたたき台を持参してくださったときは、すっかり馴染んでこちらが予測していたよりも素敵なちらしが出来上がっていました。春のイメージ、お菓子のイベントという事でおいしい・たのしいイメージを依頼していたところ、男子チーム・女子チームの2パターンをいただきました。女の子はやさしいイメージ、男の子はたのしいイメージで(おいしそうな団子が描かれていたのには笑いました!)依頼者としてはとても満足しました。
途中、時間が合わなかったり、インフルエンザの攻撃があったりとアクシデントもありましたが、手直しをしながらちょうどよいタイミングで納品していただくことができました。
どんどこプロジェクトの活動で地域や周りと関わりが生まれ、さまざまな経験を通じてこどもたち自身の将来の何かに必ず繋がっていく。きっとそうなるに違いないと思える数か月でした。3月21日(祝)、密かに企てていたイベントが実現します。
「こんにちは!こども印刷部です。何かお仕事ありませんか?」この営業がきっかけとなり、私たちの活動を動かしたといっても過言ではありません。ありがとうございました。
その他協力者 【大里東児童館】
子どもたちの進化する姿にふれ、どんどこプロジェクトの目指す場つくりに協働する職員の思いを見させていただく場におれた事に感謝しています。そしてその取り組みが形になり、子どもたちの力が生かせること、とてもすてきです。

菅生児童館について

連絡先

住所 〒803-0278 福岡県北九州市小倉南区徳吉2-5-1
電話番号 093-451-0294