NPOどんどこプロジェクト

NPOどんどこプロジェクト 2018

橋本市立きしかみ子ども館

和歌山県橋本市

子どもを地域で育てよう ~橋本式「地域コミュニティ」で 子どもの遊びを!「遊び・おもちゃ」伝承文化にふれ、地域を知り、気づき、楽しむ~ &子どもが自ら描いた安全啓発看板の修繕・維持管理

タイトル 子どもを地域で育てよう ~橋本式「地域コミュニティ」で 子どもの遊びを!「遊び・おもちゃ」伝承文化にふれ、地域を知り、気づき、楽しむ~ &子どもが自ら描いた安全啓発看板の修繕・維持管理
協力NPO
  • NPOエコランド いと・はしもと
  • NPO八尾市民活動ネットワーク つどい
その他協力者・関係者
  • 山田地区共育コミュニティ本部
  • 紀州組子細工 伝統工芸士、地場産業「根ぶし」「へら竿」職人
  • 県立紀北工業高等学校
  • 橋本市青年指導者協議会
  • 橋本市中学生ボランティア
  • 子育てサークル ほっとシッター
  • 民生児童委員・主任児童委員
  • 岸上区 区長
  • 橋本市立児童館
  • 橋本市教育委員会
開催日時 2018年7月~2019年2月
開催場所 橋本市立きしかみ子ども館・県立橋本体育館・市内看板設置場所
目的 「遊びとおもちゃ」をテーマに、「今の子どもが知らないような遊びやおもちゃ」「地域の伝承遊び」「地域の地場産業・特産物で作れるおもちゃ」などを、地域やNPOの方々のご協力をいただき、子どもと聞いたり調べたり、自分で手作りしていく中で、いろいろな人との交流をもち、子どもも大人も共に楽しみ、地域を知るきっかけとなる事業とします。また、子どもが自ら描いた安全啓発の看板の手入れや、修理が必要になった物を修理し、手作りのものを大切にしていく気持ちを育み、もう一度子どもたちの安全を見守れるようにします。
概要
  1. 「あそび・おもちゃ」について調べる
    • 地域の文化を知るために、伝統工芸・地場産業・特産物も調べる
    • 伝統工芸・地場産業に従事する職人さんや伝統工芸士の話を聞く機会を作り、子どもができる体験をする。
    • 共育コミュニティのネットワークで、地域の方の協力を要請し、体験の場を作る。自分たちが作った物で遊べるようにし、作る子どもも、教える側の大人も、一緒に楽しむ。事業後も家庭でも児童館でもその遊びを継続できるような取組みにする。
  2. 「おもちゃ」「遊び」「地場産業」「特産物」など、子どもたちが今回の事業で調べたことを一覧にして発表する
  3. 修理が必要となった看板をこどもたちの手で修理し、地域の子どもの見守りに役立てる。

橋本市立きしかみ子ども館について

連絡先

住所 〒648-0085
和歌山県橋本市岸上203
電話番号 0736-32-5094

レポート

当日の様子

【夏休みこどもまつり】8月26日(日)於:きしかみ子ども館・岸上文化センター

~「遊び・おもちゃ」伝承文化にふれ、楽しく体験!~
地域を知り、気づき、子どもも大人も楽しもう!!

自分たちの生活する地域の地場産業や伝統工芸を調べ、地域の人や職人さん・NPOの方々に協力していただき、作品の良さや技術を伝え感じられる体験コーナーを作りました。ジュニアサポーターが各コーナーに入り、職人さんに教えてもらった作り方を、来場してくれた子どもや家族連れの皆さんに伝えたり、一緒に作ったり・・・と、和やかに交流を持つことができました。

  1. 地場産業体験コーナー

    1. 紀州組子細工で根付作り
    高野杉、高野桧、神代(じんざい)杉、チークと4種類の木を使い作った部品を組み合わせ、根付けを作りました。和を感じられる素敵な作品が作れることに皆さん驚き、喜んでくれました。

    2. 紀州へら竿制作工程見学と穂先削り体験
    全国で生産一位であるへら竿の技法を伝えました。いつも来館している小学生のお父さんでもある職人さんより、ヘラ竿の制作工程の説明を受け、竹の穂先を削る作業を実際にしてみる貴重な体験ができました。ジュニアサポーターの娘さんと両親の家族3人で活動している様子は、児童館らしく微笑ましい、アットホームなブースになりました。

    3. 根ぶしでアクセサリー作り
    アクセサリーを作るだけではなく、節の並んだ真っ直ぐな竹に手を加えてU型やO型に成型していくこと、根節がかつて一流ブランドバッグの持ち手にも採用されていたけれど、安価な外国製に替わってしまったこと、現在では根節工芸に従事している家は一軒しか残っていないことなどを知りました。

    4. 再織り制作工程見学と織り体験
    一度織った織物を切って糸にし、再び織ることで、厚みのある色とりどりな織物になることを教わり、実際の織機を使った織り体験をしました。

  2. 手作りおもちゃ制作・いろいろ体験コーナー

    糸巻きのカタカタ動くおもちゃ、傘袋ロケット、びゅんびゅんゴマ、でんでん太鼓、UFO風車、鈴の音タンバリン、ぷちぷちステンド、アクリル板で製作した魚で魚つりなど、いろいろなおもちゃで遊びました。

  3. 遊び・ゲームのコーナー

    昔遊び vs 今の遊びとして、「ベーゴマvsベーブレード」「石ならべ vs オセロ」「福笑い おかめひょっとこvsアンパンマン・ドラえもん」「めんこ vs バチ魂」などをしました。また、いろいろな手作りゲームで遊びました。会場内には、手作り木工玩具遊びと展示も設けました。

  4. おまつりあそびコーナー

    中学生・高校生・大学生がスタッフとなって、子どもたちの大好きなおまつり遊びを担当してくれました。厳しい暑い日が続き、屋外での実施を危惧しましたが、8月終盤になり暑さも少しましになってきたこともあり、リーダーたちの「外でやりたい」という気持ちが通じた結果となり、賑やかに楽しんでいる様子と笑顔を多く見ることができました。

  5. 展示コーナー

    地場産業の紹介をしました。

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「遊びとおもちゃ」アンケート調査 (子ども用、大人用)

夏休み中に、市内子ども館・児童館・夏休みこどもまつり・サマースクールなどでアンケート調査に協力を依頼して実施しました。回答に協力してくれた子ども(523名)、大人(512名)の合計は、1,035名でした。

【すこやか橋本まなびの日】11月25日(日)於:県立橋本体育館

毎年恒例のイベントでも、子ども館・児童館コーナーとして、手作りと遊びのブースを作り活動しました。中学生と大人のボランティアスタッフの協力を得て、大勢の来場者と楽しく交流を持つことができました。

  1. 手作りコーナー

    根ぶしでブレスレット作り(バージョンアップ)、UFO風車

  2. 遊びのコーナー

    根ぶしで輪投げ、牛乳パックたこ鉄砲・割箸鉄砲・5連射鉄砲の的あて、福笑いおかめひょっとこvsアンパンマン・ドラえもん、CARカーリング

  3. 「遊びとおもちゃ」についてのアンケート調査結果発表

    夏休み中に調査したアンケートの結果を掲示しました。

    子どもの回答(要約)

    • 【遊び】ゲーム機やスマートフォンなどの機械的で非対人的な遊びが多くないか?と、心配していましたが、結果を見てみると屋外での遊びで群れて遊ぶ「鬼ごっこ・ドッチボール」などが多くランクインされていました。
    • 【おもちゃ】男女共にゲーム機が上位でした。
    • お家の人や大人の人に教えてもらったおもちゃや遊び:トランプ・コマ・将棋・自転車・けん玉・あやとり・お手玉などが多く、ゲーム機の回答はありませんでした。次々と新しく出るゲームにも大人に教えてもらうのではなく、子どもは自分で順応している現実がわかりました。
    • 思い出に残っているおもちゃや遊び:自由記述にしたためか少数意見が多く、おにごっこ・ゲーム機・人形遊び・ドッチボール・トランプなどが書かれていました。

    大人の回答(要約)

    • 山間部にあり、きれいな川のある地域では川への飛び込みなど川遊び
    • 海辺の地域では、貝殻拾い(楽器を作った)・潮干狩り・海水浴
    • 雪の積もる地方では、雪遊び、かまくら作りなど
    • 大阪では「だんじり」や「だんじり遊び」
    • 自然の中での遊び:秘密基地・山登りなど
    • 屋外で群れて遊ぶ:ゴムとび・かくれんぼ・おにごっこ・ドッチボール・キックベース・だるまさんがころんだ
    • 伝承遊び:めんこ・お手玉・コマ・はないちもんめ・石けりなど
  4. どんどこプロジェクトでの取組み掲示
  5. 根ぶしの持ち手傘プレゼント応募

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3世代交流会 12月2日(日)於:元伏原保育園

今年初めて地域で開催されることになった【3世代交流会】に参加要請があり、子どもたちと一緒に手作りをしたり、ゲームをしたりして開催時間を楽しむことができました。また、プロジェクト事業への取組みや「遊びとおもちゃ」についてのアンケート調査の結果などの掲示をし、地域の方に広報することができました。

  • 手作りコーナー:根ぶしでブレスレット作り、UFO風車
  • 遊びのコーナーCARカーリング
  • 「遊びとおもちゃ」についてのアンケート調査結果発表
  • どんどこプロジェクトでの取組み掲示

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よかったこと

伝承文化や地場産業

橋本市の伝承文化や地場産業について調べる中で、今まで知らなかったことを知るきっかけとなりました。また、授業数が増え帰宅時間が遅くなり、塾や習い事・スポーツなどに忙しく、核家族化が進み人との触れ合いに乏しくなっているといわれている子どもたちが、今回の事業を通して、地域の人とふれあう機会を得て、つながる良さや人の温かみなどを感じることができたようです。

「遊びとおもちゃ」についてアンケート調査

子どもの成長にとって大事だとされている「遊び」について考えたときに、今の子どもたちは充分に遊べているのだろうか・・・? 橋本市立子ども館・児童館のテーマである「手作りと遊び」は達成されているのか? 子どもたちは群れて遊べているのか?・・・ そして、遊びには欠かせないおもちゃについても知るために「遊びとおもちゃ」についてアンケート調査をし、実態を知り現状把握することにし、昨年改定された児童館ガイドラインにも記されている「遊び」についての実態を知る良い機会となりました。

遊びについての現状を知り、その上で児童館が果たせる役割が明確に見えてくるのではと考えました。

共育コミュニティ

今年度初めて地域に共育コミュニティ本部が発足するにあたり、地域の教育施設(こども園・小学校・中学校・高等学校)と、生涯学習施設(地区公民館)児童福祉施設(保育園・こども園・児童館)が集まり、本部会議を構成し連携することになりました。今までは、それぞれにはつながっていましたが、一堂に会することによって、児童館は、その全ての年代にわたり、大人になってもつながりが継続していることを再確認することができ、プロジェクト事業の取り組みにも有効な集まりとなりました。

子どもたちの声

  • 自分たちが住んでいる橋本に、こんなに色々な物を作っているところがあるのを知らなかった。もっと色々なことを知りたいと思った。
  • 根ぶしが竹からできていることも知らなかった。お母さんに傘をプレゼントしたいと思って、名前を書いて箱に入れた。
  • 紀州組子細工を飾った額を夏休み工作教室で前に作ったことがあるけど、今度は違うものが作れてうれしかった。カバンにつけたいと思う。
  • へら竿を全国で1番多く作っているって知らなかった。竹の先を削るのは難しそうでできるかな?と、思ったけど、優しく教えてもらったので上手に出来てうれしかった。
  • ふにゃふにゃした糸を織り機に通して、こんなフワフワしてきれいな織物になったので、もっと作ってみたいと思った。
  • 高校生のお兄ちゃんが作った硬くて透明できれいな色の魚が、小さなプールの中に入っていてそれを釣るのが面白かった。もっといっぱい欲しいと思った。
  • おもちゃ屋さんに売っているような木の車を、おじいちゃんが自分で作ったって聞いてびっくりした。大きなコマや乗れるような汽車まであった。また遊びたいと思った。
  • 5連射の木でできた鉄砲がすごいな!と思った。自分でも作ってみたい。

協力NPOの感想

  • 子どもが作る時の真剣な目と出来上がったときの笑顔を見た時にはとてもうれしく、温かい気持ちになります。また、参加したいと思います。
  • 毎年参加していますが、子どもと一緒に参加してくれているお家の方もとても喜んで楽しみにしてくれています。毎年違った取組みを聞く度に、発想に驚き、自分も刺激を受けています。以前に参加した学生が卒業して社会人になってからも一緒に参加してくれています。

その他協力者の感想

  • 工作教室で飾り額を作ったことがあります。今回は短時間でも作れる物をと相談して根付にしました。高野杉・高野桧・神代(じんざい)杉・チークなど種類も色も違う木を組み合わせて作る組子の良さを感じてもらえて良かったです。「伝承」を大切にしたいと思っています。
  • 最初に話を聞いたときは、「材料だけ提供するから・・・ 自由に作って」と、思いましたが、熱心に「子どもたちに知ってほしい」「伝えたい」という話を聞いているうちに、協力していました。サプライズのプレゼントを準備して喜んでもらえたのもとても嬉しく思いました。大切に使ってもらえると嬉しいです。
  • うちの子どもが子ども館でいつもお世話になっています。自分にできることなら何でもしたいと思い参加させて頂くことにし、家族で楽しく活動できました。師匠から受け継いだ伝承の工芸「紀州へら竿」の広報活動のために、東京や中国でもデモンストレーションしています。
  • いただいた廃材から作った手製のおもちゃで子どもたちが楽しそうに遊んでいるのを見てとても嬉しかったです。またたくさん作りたいと思いました。今日は家族一緒に来ました。NHKで放送されると聞いたので、楽しみにしています。

児童館担当者の感想

  • 今年も大勢の方にご協力いただき、素晴らしい事業ができたことがとても嬉しく、皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。実行委員会で趣旨説明をし、それぞれに貴重な意見を出していただき、企画が高められたと感じました。遊びについてのアンケートの件を提起したときには、子どもの頃に遊んだことを「あんなことした」「こんなこともした」と話し、大盛り上がりしているのを見て、「いいな~!楽しそうだな~!!」と、思い、今の子どもたちは大人になってこんなに自分たちが遊んだことを、楽しくみんなと話できるのかな・・・?と、不安になってしまいました。“昔の子どもたち”みたいに楽しい思い出を語れる日がありますように・・・! そのために、今以上に児童館が楽しい遊びの宝庫となり、大勢の子どもたちが楽しめますように・・・!! 私たち児童厚生員も頑張ります!!!
  • アンケート記入の中にも大人の人との話の中でも、「なんば」「屋根ゴロ」「銃殺」などと、名前は違うけれど、同じ遊びが多く出ました。屋根にボールを投げて数字を言い、言われた数字の人が落ちてくるボールを受けてまた投げる・・・という遊びです。私たちもした覚えがありますが、今考えると、人の家や倉庫などの屋根にボールを投げる・・・なんて、今の時代では考えられないことで、人も建物もオープンで寛容な環境の中で子どもたちは遊べていたんだ。と、改めて思いました。子どもの周辺は厳しい環境になってきていますが、子どもが自由に遊べる場として、マナーを守りつつ気兼ねなく遊べる場所としての児童館の環境を整備し、守っていきたいと強く思いました。
  • 協力していただけた職人さん・NPOの方・お話を聞かせていただいた地域の方々・・・どの方のお話にも参加にも感謝です。ありがとうございました。