NPOどんどこプロジェクト

NPOどんどこプロジェクト 2020

犬飼ふれあい児童館

大分県豊後大野市

自然の楽校 in 犬飼

協力NPO NPO法人 エー・ビー・シー野外教育センター
その他協力者・関係者
  • Goap株式会社
  • 学校法人文理学園 日本文理大学
  • 大野川漁業協同組合
開催場所 リバーパーク犬飼
目的

「非認知能力」の向上

犬飼ふれあい児童館では「いつも子どもが地域のまんなか」を理念とし活動しています。子ども一人ひとりの「気持ち・感情」を育む支援、そして子育てをしやすいように「家庭」を支援、「地域の遊び場」とし児童館から地域を巻き込み子どもたちが安心・安全にすごせるように日々努めております。そして新たな出会いと発見を求め子どもたちと一緒に更に一歩外へ飛び出してみようと思います。それが「自然の楽校 in 犬飼」です。野外体験で大学生や地域で活動されている方との出会いから子どもたちが何を発見できるか!来年、再来年と続けていくために、自分たちの体験を周りのお友達(参加していないお友達)や地域の方にどうやって伝えられるか。短期間で大きな変化は生まれないかもしれません。でも心の中に「生きる力」の種を根付かせることが出来たら嬉しいです。

概要

※採択時の情報です。新型コロナウイルス感染拡大予防のため内容が変更になる場合があります。

NPO法人 ABC野外教育センターの「冒険教育プログラム」を軸に、犬飼町にある「リバーパーク犬飼」にて小学校高学年を対象とした野外体験活動を行う。さらに、協力者の皆さんと連携して、活動の幅を広げる。

犬飼ふれあい児童館

連絡先

住所 〒879-7306
大分県豊後大野市犬飼町下津尾3883-1
電話番号 097-578-5255

レポート

当日の様子

8月9日 デイキャンプ

コロナ禍のため当初予定していた1泊2日のキャンプを断念し、デイキャンプという形で人数も最小限におさえて実施しました。午前中は「仲間作り・チーム作りプログラム」、そして「野外炊飯(夏野菜カレー作り)」を行い、午後は「川遊び(ジャケットフロート体験)」を行いました。

NPO法人エー・ビー・シー野外センター(ポッキーさん)のもと参加した子どもたちは緊張気味。最初の「仲間作り・チーム作りプログラム」では出された課題に挑戦してもなかなか上手くいきません。児童館では「先生~」と言えば支援員が助け舟を出してくれて「もう1回やってみよう!」となっていたものが、今日はだれも助けてくれません。時間がかかってもいいから自分たちで考えよう!失敗したらみんなで「作戦タイム」。誰が悪いのではなくてどうすれば上手くいくのかを皆で考えよう!その繰り返しで1つずつ課題をクリアーしていきながら、いつの間にか緊張していた表情も、いつもの賑やかな表情になっていました。

自分たちの力で課題を乗り越えた子どもたちは、そこからは一気に進みます。野外炊飯では薪を使っての「飯ごう班」・ガスバーナーで作る「夏野菜カレー班」に分かれて活動開始です。自分たちであれしてこれして、わからない所は「先生これはどうしたら良いの?」と聞いてきますが、基本は子どもたちが自ら進んで活動することが出来ました。出来上がったカレーはとびきりの笑顔で「いただきます」。苦手な野菜にもチャレンジしながら完食しました。

午後からは待ちに待った「川遊び」、デイキャンプを行ったリバーパーク犬飼には河川敷があり子どもも安全に遊べる環境があります。天気はまさかの雨でしたが、ライフジャケットを身につけていざ出陣!少々の雨は今日の子どもたちには関係ありません。「どうせ濡れるけん大丈夫!」と言いながら、雨の中を気持ちよさそうにプカプカ、川の流れに身をまかせて何度も流れていきました。

最後は1日の振り返り。実はこの振り返りが一番大切だとポッキーさんが言われていました。楽しかっただけで終わるのではなく、何を学んで次に何をつなげるか、一人一人が今日の自分のこと、仲間のことを振り返ることが出来ました。

デイキャンプの2週間後には、子どもたちで集まり新聞作りを行いました。2時間しかなかったので2回ほど集まる必要があるかなと思っていましたが、子どもたちは短時間でも見事に新聞を作り上げることが出来ました。新聞は地域の銀行やリバーパーク犬飼さんに掲示してもらい、地域の方へも活動報告が出来ました。次の目標は「3・4年生を招待して今度は自分たちが先生となりデイキャンプを開催しよう」となりました。

しかしコロナの影響は子どもたちの活動をことごとく邪魔していきます。地元市内からも感染者確認という状況下で、人数を増やしてのデイキャンプ開催は断念しました。でもどうにかもう一度このメンバーで出来ることを模索し、前回の新聞作りの時に「ピザを作ってみたい」とい子どもの声があり、コロナの感染状況を見ながら12月に「ピザ窯作り&ピザ作り」を開催することにしました。

12月19日 ピザ窯作り&ピザ作り

デイキャンプの参加者全員が再会し、4ヶ月ぶりにポッキーのもとへ集合しました。しかし子どもたちのテンションは低く、ポッキーからの問いかけに目をそらし、ほとんどの子が答えない状況でした。そんな中まずは「仲間作り・チーム作りプログラム」をスタートしましたが、上手くいかず、何度も何度も「作戦タイム」を設けますが、話し合いに入らずに手遊びする子ども、私には関係ないという雰囲気の子ども、「どうせ無理」「やっても無駄」心の声が手に取るようにわかります。デイキャンプの時とは別人のようでした。

その後は2班に分けて「ピザ窯作り~火起こし」「ピザ生地作り~トッピング」作業を行いました。ここにきてやっと子どもたちに笑顔が見られるようになり、耐火煉瓦を積む過程では、自然とリーダー的な子どもが出来て音頭取りをしてくれました。ピザ生地作りでは、初めて生地を練る工程を経験した子どもも多く、その感触を楽しんでいました。「〇〇ちゃんがチーズ苦手だから気を付けて」と相手を気遣う場面もありました。焼きあがったピザは少し焦げたりしながらも「美味しい」と喜んで完食しました。

しかし「振り返りの時間」では、子どもたちの顔が一変し、下を向き目もあわさず。どうにか一人一人感想を述べて、新聞作りの日を決めて解散しましたが、新聞作りの日、約束の時間までに来てくれた子どもは10人中2人。遅れて来た子どもが2人の計4名で、新聞も半分となりました。また日を改めて声がけをしてやり直そうかとも思いましたが、「半分だけの新聞」が現状だと受け止めることにしました。

よかったこと

今回の参加者は、いつもケンカが絶えないメンバーでした。参加する前も「ケンカになったら嫌だな」という声もありましたが、デイキャンプ終了後に「今日1回もケンカせんかったなあ」「本当や」「すごいなあ」と笑顔で語り合う姿がとても印象的でした。みんなで考えて実行する、失敗しても誰かを責めるのではなく「どうすれば上手くいくか」を考える。そうすれば自然と笑顔が生まれることを実感した瞬間でした。

こどもたちの声

  • デイキャンプ・・・「皆で力をあわせないと出来ないことがある」「自分の意見ばかりを通さず周りの話を聞くことが大事」「皆で力をあわせないと楽しい時間が過ごせない」
  • ピザ窯作り&ピザ作り・・・「仲間づくりプログラムが全然うまくいかなくて大変だった」「けんかはなかったけどキャンプの時のような充実感もなかった」「皆が違う方向を向いていた」「ピザ作りからは色んな意見もでて楽しくできた」「ピザは苦手だったけど自分たちで作ったピザは美味しかった」

協力NPOの感想

  • デイキャンプ・・・最初はもじもじしている子や自分の意見ばかりいう子どももいましたが、作戦タイムを重ねるうちに声も大きくなり周りの意見をきいてみようという姿勢に変わっていきました。「出来なくて当たり前」それをどうすれば上手くできるのかを考えるきっかけになってきれたら嬉しいです。
  • ピザ窯作り&ピザ作り・・・デイキャンプからたった四ヶ月でこんなに子どもたちの表情や態度が変わるのかと正直驚きました。コロナの影響が子どもの気持ちに影を差したのでしょうか。それでも最後ピザを無事に作り終えることができほっとしました。このメンバーでもう一度来年度に何かをチャレンジしてみたいです。

その他協力者の感想

デイキャンプ協力者(「Goap株式会社」)
子どもたちの表情が活き活きとしているのがとても印象的でした。

児童館担当者の感想

今回指導して頂いたNPO法人エー・ビー・シー野外センターのポッキーさんは「子どもに任せる」を徹底されていました。例えその後の工程に影響が出ても「今必要なことを子どもに考えて欲しい、上手くいくなんて最初から考えていない、出来ないなら出来ないということを受け止めることも大切」と言われていました。今までの児童館行事は「成功」するように支援員が導き「良かったね」と一緒に喜んできましたが、それは子どもの本当の能力「生きる力」を伸ばすどころか摘んでしまうこともあるということに今回気付くことが出来ました。

また、コロナ禍で子どもたちは家で過ごすことが多くなり、たくさんの事を我慢し諦め、今まで以上にオンラインゲームに熱中していくなかで、以前のような表情は消え、他人を受け入れられない、そんな雰囲気を感じます。大人が思っている以上に子どもたちにとってコロナ禍のストレスは大きいものだと思いました。緊急事態宣言の解除後は、児童館から足が遠のいていった子どもも少しずつ来館することが増えてきています。砂場遊びやドッチボール、友達と一緒に宿題をしたりして過ごすことは子どもたちにとって大切な時間であり、またその場を提供できる児童館という場は無くてはならない存在であることを実感しました。